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「トリクロサン」「トリクロカルバン」の薬用石けんで感染症の危険が増加

薬用石けんには抗菌・殺菌作用を持つ「トリクロサン」「トリクロカルバン」という化学物質が使われています。

手洗いは病気を防ぐ重要な習慣として浸透していますが、薬用石けんを使って手洗いをすると、感染症の危険増加・耐性菌の増殖・環境汚染など、かえって悪い効果の方が高くなってしまうという研究結果がいくつも発表されています。

欧州ではトリクロサンを含む製品の販売禁止も始まっており、アメリカの薬用石けん市場が完全消滅するかもしれない事態について、Ars Technicaがまとめています。

Mounting data suggest antibacterial soaps do more harm than good | Ars Technica

トリクロサンの安全性

薬用石けんなどに含まれるトリクロサンは、数多くの市販製品に使われている抗菌・殺菌成分ですが、近年では、トリクロサンが持つ危険性を指摘する研究が報告され始めています。

薬用石けんの使用は感染症の危険増加・腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の変化・耐性菌の増殖・環境汚染を増加させる恐れがあるとのこと。

マーケット大学のパトリック・マクナマラ博士もトリクロサンの研究者の1人。

マクナマラ氏によると、トリクロサンを含む石けんの殺菌効果を得るには、数分かけて行う長時間の手洗いが必要で、多くの人が行う「数秒間の手洗い」では不十分とのこと。

医者が手術前に数分間手洗いするのは有効であることが認められていますが、「30秒間の手洗いでは、通常の石けんと薬用石けんのどちらを使っても大きな差は見られない」という調査報告も報告されています。

益より害になる可能性から、トリクロサンの使用の見直しが求められています。

アメリカ食品医薬品局(FDA)はトリクロサンを「安全な物質」と定めていましたが、近年の研究報告を受け、トリクロサンの安全性の再確認に動いています。

FDAは各メーカーに対して、薬用石けんの利用による殺菌効果が、通常の石けんより健康的であることを示すデータを求めています。

提出されたデータがFDAの基準を合格するかどうかは不明ですが、FDAはトリクロサンに関する調査結果の発表を2016年9月に行う予定。

もしトリクロサンの使用が禁止されれば、各メーカーは年間55億ドル(約6000億円)の売上げを放棄することになるかもしれません。

トリクロサンの悪影響とは

石けん以外にもボディソープ・シャンプー・歯磨き粉・化粧品・家庭用洗剤など、いたる製品に使われているトリクロサンですが、経口・皮膚を経由して簡単に体内に浸透する性質を持っています。

トリクロサンは人々の尿・血液・鼻水・母乳などに滞在し、ミシガン大学の調査では、90人中37人(41%)からトリクロサンが発見されています。

ラットを使った研究では、トリクロサンに露出されるとブドウ球菌の侵入に弱くなることが判明。

トリクロサンはタンパク質に付着しやすい傾向を持つため、ブドウ球菌を侵入させる「ステッカー」になり、果ては感染症のリスクにつながります。

ゼブラフィッシュを使ってトリクロサンの腸内細菌叢の影響を研究したオレゴン州立大学によると、トリクロサンが持つ抗菌効果により、ゼブラフィッシュの腸内環境が劇的な変化が見られたとのこと。

トリクロサンが母乳に含まれることから、母親から子どもの体内にトリクロサンが移動することもわかっています。

テネシー大学ノックスヴィル校の研究では、トリクロサンが母子両方の腸内細菌叢に影響を与えていることもわかっています。

腸内細菌叢の微生物的変化によって既存の抗生物質に耐性ができてしまう恐れもあり、テネシー大学ノックスヴィル校は引き続き追跡調査を行う予定です。

トリクロサンの生体に対する数々の悪影響が報告されている一方で、マーケット大学のマクナマラ博士は「尿から排出されたトリクロサンは、配水管を通って下水処理場にたどり着きます」と指摘。

下水処理場に流されたトリクロサンは、下水中の微生物体系をめちゃくちゃにしてしまい、下水処理能力の低下を招いているとのこと。

トリクロサンが下水に含まれる「mexB」と呼ばれる微生物の遺伝子を変化させるのですが、mexBはトリクロサンや抗生物質を排除する働きを持つようになるためです。

また、トリクロサンに次いで薬用石けんに使われる「トリクロカルバン」も、微生物群に同様の変化を引き起こすことがわかっています。

マクナマラ博士は「トリクロサンなどが作り出したスーパー微生物は、下水処理場から環境へ流出していきます。潜在的に野生動物や、巡り巡って人間にも危険を与える可能性があるでしょう」と話しています。

FDAがトリクロサンなどの抗菌成分を禁止するかどうかは不明ですが、マクナマラ博士はトリクロサン製品の使用をストップする消費者選択が、最も強力な対策になると考えています。

マクナマラ博士は「不要な化学物質を使わなくても、私たちは通常の石けんやエタノール消毒液で衛生を維持することができます」と述べています。

追記:抗菌せっけん、米で販売禁止「効果に根拠ない」トリクロサンなど殺菌剤19種

2016/9/3 日本経済新聞より抜粋

 米食品医薬品局(FDA)は2日、抗菌作用のあるトリクロサンなど19種類の殺菌剤を含む抗菌せっけんやボディーソープなどを販売禁止にすると発表した。通常のせっけんより殺菌効果があるという根拠がなく、長期使用の安全性も検証されていないとしている。

 一部の米企業はこうした殺菌剤の使用をすでに中止した。トリクロサンを含む製品が多く流通している日本でも影響が出そうだ。

 規制対象となったのはトリクロサン、トリクロカルバンといった殺菌剤を含むせっけんやハンドソープ、ボディーソープなど。トリクロサンは殺菌効果などをうたう液体抗菌製品の93%に含まれており、2千種以上が販売されているという。

 FDAは「消費者は抗菌せっけんは細菌の増殖を防ぐのにより効果があると考えがちだが、通常のせっけんと水より有効だという科学的根拠はない」と指摘した。さらに「殺菌剤は長期的に利点よりも有害となりうる可能性があるとの指摘もある」と警告した。

 一部の研究によると、殺菌剤を使うことで耐性菌が増えるリスクがあるほか、ホルモンの働きを阻害するなど健康への影響を懸念する意見もある。FDAは2013年、衛生製品メーカーに、トリクロサンなどの有効性と安全性のデータを提出するよう要請し、販売規制の是非を検討してきた。

 今回の規制対象に消毒液や医療機関向けの製品は含まれていない。FDAは通常のせっけんと水による手洗いを推奨しており、せっけんがない環境ではアルコール消毒液の使用を勧めている。

 トリクロサンは抗菌成分を持つ物質として、多くの日用品に含まれている。米国ではトリクロサンを含むせっけんが40年以上前から市販されている。日本では1990年代に病原性大腸菌O157の被害が広がると抗菌剤に注目が集まり、トリクロサンが配合された薬用せっけんなども広く使われるようになった。

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