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脳神経細胞のスパインが新たなつながりをつくることで学び、ミエリン化で高速化する

脳の実態は今まで深い謎に包まれていました。

その謎を解き明かしつつあるのが、ハーバード大学のジェフ・リヒトマン博士です。

博士はマウスの脳を30ナノメートル、髪の毛の太さの1000分の1の薄さでスライスし、電子顕微鏡で撮影。

神経細胞ごとに違う色で塗り分けていきました。

200枚のスライスを積み重ね、脂肪などの余計な部分を取り除くと、隠れていた神経細胞が姿を現します。

すると、全部で11本の神経細胞が複雑に絡み合っていることがわかりました。
 
神経細胞 スパイン

神経細胞は単体でも非常に複雑な形をしています。

球状の物体が神経細胞の本体、細胞体。

そこから樹の枝のように細かく分かれ、広がっているのが樹状突起。

その樹状突起から棘(とげ)のように突き出しているのがスパイン。

いわば、神経細胞の腕です。

1つの神経細胞に、およそ1万本の腕が付いています。

このスパインこそが、私達の学ぶ力を担っているのです。

新しいことを経験し、学習し、記憶しようとする背後ではスパインが周りの神経細胞とつながろうとしています。

つながった瞬間、そこに電気信号が通ります。

スパインが新たなつながりをつくることこそ、私達が学ぶということなのです。

カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究では、200人の赤ちゃんにヒンディー語の2種類の「タ」の発音を聞かせる実験をしました。

私たちが聞くと同じ音に聞こえますが、10カ月未満の赤ちゃんは90%以上の正答率でこの聞き分けができるという結果が出ました。

しかし、10カ月を過ぎると、正解率が2割以下と、赤ちゃんたちは急激に聞き分けができなくなるのです。

なぜかというと、赤ちゃんはお母さんの話す言語だけに焦点を合わせて聞き取るようになるからです。

生きていくのに欠かせないスパインのつながりがはっきりすると、それ以外のつながりを新たにつくる動きは止まります。

なぜそんなに早く動きを止めてしまうのか。それを明らかにしたのが、アメリカ・ハーバード大学のタカオ・ヘンシュ博士です。
 
ヘンシュ博士らは、若い時にだけスパインを活発にする物質が出ているのではなく、年をとると特別な物質が出て動きにブレーキをかけるのではないかと考えました。

そして、分析の結果はそのとおりでした。

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2010年、世界で初めてヘンシュ博士たちが報告したブレーキとなる物質の名前は「Lynx1(リンクスワン)」。

これは毒蛇の毒と似た構造を持ちます。

神経細胞は基本的にいつまでも変化し続けようとする性質を持っています。

しかし、Lynx1が強制的に脳を止めるのです。

では、この毒を抑えれば学習能力を長く維持できるのではないでしょうか。
 
そう考えた博士たちは、マウスに遺伝子操作をおこなって、Lynx1がつくれないようにしました。

すると、10カ月後、そのマウスの神経細胞は大量に死に、アルツハイマー病のような状態になってしまいました。

10カ月のネズミは、人で言えばまだ30代。

変化を長引かせることによって、脳の細胞に早すぎる老化がもたらされたのです。

変化し続けることは、多くのエネルギーを必要とします。

過剰な変化によるダメージから身を守るために、脳は学べる期間を自ら終わらせてしまうのです。

進化という視点から考えると、細胞は次世代に生命をつなげたら、目的を達成したことになります。

細胞は慎み深くて、いつまでも生きようとは思っていないんです。

生殖可能な年齢までは一生懸命頑張りますが、その後は自然に老いていく仕組みになっているようです。

脳の神経細胞に、オリゴデンドロサイトという別の細胞が巻き付く現象があります。

そうすると、神経細胞に電気が通るとき、オリゴデンドロサイトが巻かれた部分をスキップしていきます。

つまり、遠くと遠くをつなぐネットワークを高速化してくれるのです。

成人になってしまうと、新しい回路はなかなかつくられないのですが、神経細胞同士の結びつきを強くすることはできるということがわかってきました。

それは、ミエリンという特殊な物質がかぶさることによって実現します。

脊髄を損傷した場合、今までは一度ひどく傷ついたらなかなかつながらないと考えられていました。

しかし、完全には切れていないけれど切れかかっているという状態だったら、ミエリンで周りを補強できるということがわかってきたんです。

iPS細胞からミエリンをつくる細胞を生成できますので、これを利用して脊髄や脳の損傷の治療に役立てられないかという期待もされています。

何かに熱中したり、夢中になったりすると、脳神経細胞のスパインの活性化はたとえ「老いても」起こりうることが最近の研究でわかりつつあります。

ひとつ考えられるのは、脳を刺激するような物質がつくられて、それによって活性化されるということ。

ランニングハイと呼ばれる状態がありますよね。

走っていると、通常は苦しいんですが、時々ものすごい高揚感に襲われて幸せな気持ちになるんです。

そういうときは、脳内で幸福感をもたらす物質がつくられているんじゃないかと。

もともと10年くらい前まで、脳というのはいったん傷つくとまったく再生しないと言われていたんです。

今は、弱いけれど再生能力があるということがわかってきています。

その再生能力を強める研究も進んでいます。

脳というのはまだまだ大部分が未知の分野です。

これから日本、そして世界で高齢化が進むと、アルツハイマーなどの脳の病気が今まで以上に大きな問題になってくるでしょう。

それと同時にさまざまな研究も進んで、脳について新しいことがわかってくるはずです。

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