9May

鉄をサプリメントで摂る場合、「原料がどのような鉄なのか」ということに注意していただきたいと思います。
私たちが食べ物から摂取する鉄には、主に穀物や野菜など植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」と、肉やレバーなどの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」があります。
非ヘム鉄の素材には、クエン酸鉄、グルコン酸鉄などがあります。
たとえば、医薬品の鉄剤としてよく使われる「フェロミア」はクエン酸第一鉄です。
これは、鉄がむき出しの状態なので、胃や腸に負担をかけやすく、人によって気持ちが悪くなる場合もあります。
それに比べて「ヘム鉄」は、「非ヘム鉄」と異なり、鉄がむき出しではなく、ポルフィリンという分子にくるまれているため、胃や腸にかける負担が少なく、副作用が起こりにくくなっています。
またヘム鉄の方が吸収率も高く、非ヘム鉄に比べ、5~10倍も良いと言われています。
不調の原因が鉄の不足にあることが明らかな場合は、お医者さんに鉄の薬を出していただくのが第一選択です。
医薬品は、健康保険が使えるため経済的な負担が少なくて済みます。
ただ、医薬品は非ヘム鉄のため、胃腸の調子が悪くなるなどして飲み続けることができないことがあります。
その場合は、ヘム鉄のサプリメントを使うのが良い方法です。
ただし、気を付けなくてはいけないのは、市販のサプリメントには「非ヘム鉄が主体で、ヘム鉄をちょっぴり加えた」だけなのに、パッケージには「ヘム鉄」と書いてあるものが多いことです。
ヘム鉄はほとんどが豚の赤血球を原料として作られますが、鉄の含有率は低く、1~2%しかありません。
小さな粒でたくさんの鉄が摂れるように表記してある場合、主な原料は「非ヘム鉄」と判断できます。
それなら、医薬品の鉄剤を使う方が安くて、品質も信頼できます。
ヘム鉄が多く含まれている製品でなければ、サプリメントを使う意味がありませんので、注意して選んでください。
しばらく前に、輸入品の「医療機関向けのヘム鉄のサプリメント」と標榜していた製品が、実は「鉄粉」のサプリメントだったという出来事がありました。
金属の鉄は吸収しにくく、胃酸分泌が弱い人には特に厳しいでしょう。
こうした虚偽表示が堂々と行われていることもありますので、サプリメント選びはなかなか難しいのです。