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歩いて入院した人が退院するとき歩けないのはなぜ?

入院するときは自分で歩いて来たのに、退院するときは歩けなくて、車椅子やストレッチャーに乗って出て行く人がいます。あるいは、家に帰ることができず、別の病院に移る人もいます。

「手術や抗ガン剤のような、身体を大きく傷つける治療をしたのだから仕方がない」というだけで済まされてしまうことが多いのですが、本当にそうでしょうか?病院は、病気を治すところのはずです。であれば、歩いて来た人は歩いて帰るのが当然だと思いませんか?腰にも脚にも悪いところがないのに、歩けないのはおかしいですよね。

なぜ、こんなことが起こるかというと、やはり病院で適切な栄養管理ができていないからです。栄養不足で筋肉が細ってしまい、起き上がったり歩いたりできなくなるのです。実は、この問題は世界共通で、入院患者の30~50%に中等度以上の栄養不良があるのが一般的なのです。

最初にそれを指摘したのは、1974年に発表された“The skeleton in hospital closet(病室の骸骨)”というアメリカの論文でした。それまで栄養不良は、主に食料問題が深刻な発展途上国で起こる、あるいは自然災害や戦争などに伴って起こると考えられていたため、先進国の病院の中で栄養不良が、しかも高率で起こっているという内容は、医療界に大きな衝撃を与えました。そして、アメリカをはじめ世界各国で調査・研究が行われたところ、入院患者の30~50%に中等度以上の栄養不良があることが分かったのです。

具体的には、たとえば1994年にイギリスで行われた研究では、入院患者の栄養不良発生率は内科患者46%、呼吸器疾患患者45%、外科患者27%、高齢患者43%となっています。1996年にブラジルで25の病院に入院中の4000名の患者を対象に行なわれた大規模調査では、12.6%が高度の栄養不良、35.5%が中等度の栄養不良という結果が出ています。

多くの病院ではまだ栄養不良の入院患者が大勢いますし、栄養不良の人は在宅患者にも大勢います。ちなみに「栄養不良」は、正確には低栄養と過栄養の両方を含みますが、実際には低栄養を指す用語として使われています。

したがって栄養不足といった場合には、特に注記がなければ、必要な栄養素が充分に摂れていない低栄養状態を指します。それに対して「栄養障害」は、栄養不良によって代謝障害を起こした状態です。そのため正確には、低栄養で代謝障害を起こした状態と、過栄養で代謝障害を起こした状態が含まれます。

栄養障害には、ビタミンや微量元素などの欠乏や過剰による栄養障害もありますが、多いのはタンパク質と糖質、脂質という三大栄養素の欠乏による栄養障害です。中でも重要なのがタンパク質です。タンパク質は骨格筋や心筋をはじめ、人体の有機化合物の50%以上を構成する材料であり、細胞の働きにも重要な役目を果たしています。

そのためタンパク質が不足すると、まず骨格筋や心筋などの筋肉量が減少します。新たな筋肉を作れないうえに、足りない栄養を補うために筋肉自体を消費してしまうのです。筋肉量が減ると当然、歩けない、立てない、座れないといったことが起こり、やがて寝たきりになってしまいます。

さらに、血液の中にあるタンパク質も減少します。すると免疫機能が落ち、傷の治りが遅くなり、臓器に障害が起ります。そして最終的には、身体全体のタンパク質の25~30%が失われると、人は死に至ります。つまり、栄養障害によって、人は死ぬことがあるのです。

栄養障害が関わっているのは、ガンだけではありません。ありとあらゆる、といっても過言ではないほど、様々な症状や病気に栄養障害が関わっています。栄養は全ての治療の基盤であり、栄養状態が良くなければ、治療は無効になってしまうのです。

栄養障害に陥ると、免疫機能が低下するため、誤嚥(ごえん)性肺炎や敗血症などの感染症にかかりやすくなります。やせて、身体に脂肪というクッションがなくなり、血流も悪くなるため、褥瘡(じょくそう=床ずれ)が出来やすくなります。新たな細胞を作るための材料が不足しますし、エネルギーも足りないために、傷が治りにくくなり、回復が遅れます。

筋肉が細ってしまい、歩けなくなったり、起き上がれなくなったりもします。その状態でリハビリをしても、栄養障害が益々進んでしまうだけで、効果はありません。言葉は悪いのですが、適切な栄養管理をせずに行うリハビリは、ろくな食事を与えられずにやらされる強制労働のようなものです。

栄養障害は、ほぼ全ての臓器に悪影響を与えます。小腸では消化・吸収がうまくいかなくなり、小腸にたくさんある免疫細胞もダメージを受けます。大腸では水分の吸収がうまくいかなくなって、下痢をします。腎臓では老廃物の濾過(ろか)機能が低下しますし、肝臓の代謝機能も低下します。心筋も細りますから、心機能も低下します。脳はブドウ糖(グルコース)を主な栄養にしているため、ブドウ糖が不足すれば脳機能が低下します。

ガンはもちろん、慢性腎臓病、肝炎や肝硬変、心不全、脳梗塞や脳出血にも栄養は深く関わっているのです。そして、栄養管理がきちんとなされていないと、これらの病気の治りが悪くなるどころか、悪化してしまうことさえあります。

また、桂歌丸さんや和田アキ子さんが発症したことでも知られ、近年クローズアップされているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)も、栄養管理が非常に重視されるべき病気です。呼吸が苦しく、一生懸命息をしなければならないため、呼吸筋が大量のエネルギーを消費してしまうのですが、体力や食欲が低下していて栄養を充分に摂れないのです。すると、呼吸筋が細って更に呼吸が苦しくなるという悪循環に陥ってしまいますし、免疫機能が低下して肺炎などの感染症にかかるリスクも高くなります。

ところがCOPDも、栄養管理をきちんとすることで、症状を軽くしたり、回復させたりすることができます。

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